もくじ
ラブコメや恋愛要素の是非
結論から言うと、当サイト的には作品に合っていれば入れた方が良いと考えています。
ラブコメや恋愛要素など、人間関係やその変化に携わる要素はストーリーの幅を広げてくれます。
これはライトノベルにおいては勿論、創作物全般に言えることです。
また、単純にライトノベルはラブコメや恋愛要素の毛色が強い傾向にあります。
『作品に合っているかどうか』が重要
繰り返しになりますが、ラブコメや恋愛が主題で無いのであれば無理に入れる必要はありません。
見出しの通り、『作品に合っているかどうか』が重要なのです。
例えばシリアスな刑事もので下手にラブコメしてたら雰囲気が台無しになりますし、
シリアスさの説得力が欠けてしまいます。
相性も考え、ラブコメや恋愛要素を入れたことによってどのようなメリット・デメリットがあるかを配慮しなければなりません。
本筋のストーリーがブレたり台無しになったりしては本末転倒ですからね。
人間関係やその変化に携わる要素はストーリーの幅を広げてくれる
しかしやはり、相性も悪くなくて、なおかつラブコメや恋愛要素を入れて面白くなるのであれば入れた方が良いでしょう。
男女が居れば恋愛に発展させた方が面白くなる点は多々あります。
先程の例えで言えば、シリアスな刑事ものでのラブコメは難しくても、
仕事が忙しくてなかなか会えず、思いがすれ違うなどの恋愛要素を入れればストーリーの幅が広がります。
ただのシリアスな刑事ものではなく、人間味のある面を見せれるという点でも面白くなるでしょう。
キャラが人間である以上は人と人との関わり合いは無くせないので、
ラブコメや恋愛要素のみに関わらず、人間関係やその変化に携わる要素は積極的に入れていきましょう。
実際にラブコメや恋愛要素を入れてみる
分かりやすいように参考例を用意しました。
ストーリーの流れは理解しやすいように簡易的に箇条書きで示してあります。
解説は後に行います。
- 主人公はとある組織の暗殺者として活躍しており、他人に興味がない
- ひょんなことから任務の一環で少女を預かることに
- 少女は実は主人公を殺しに来た内部からの刺客だった
- 主人公は強すぎるため、いつの間にか組織でも危険視されていた
- 真意に気付くいた主人公は少女を殺害
- 最終的に組織と対立し、結果として組織を壊滅させる
- その後、新たな拠り所を求めて旅をする
- 主人公はとある組織の暗殺者として活躍しており、他人に興味がない
- ひょんなことから任務の一環で少女を預かることに
- 最初は何とも思っていなかった少女に自分との共通点を感じ、徐々に惹かれていく
- それは少女も同じだった
- しかし少女は実は主人公を殺しに来た内部からの刺客だった
- 主人公は強すぎるため、いつの間にか組織でも危険視されていた
- 少女は組織としての自分の任務と芽生えてしまった恋愛感情とで葛藤し、任務遂行を先延ばしにする日々
- 鈍いわけではないので主人公はそれに気付くが、今まで他人に興味がなかったため、どうしていいか分からない
- お互いに気持ちは言えないまま、けれど言わなくても通じ合っている二人
- 最終的に少女までまとめて処分しようとした組織と対立し、結果的に組織を壊滅させる
- その後、少女と共に二人で旅をする
- 主人公が誰かを暗殺
- 帰ってくると少女が裸エプロンで手料理を作って待っていた
- 少女「(これで主人公を誘惑してみせる)」
- 主人公「その格好は…!」
- 主人公「風邪を引くぞ」
- やはりその辺りに無頓着な主人公に少女はがっくりと肩を落とす
- そして主人公は料理を食べるも開口一番にまずいと言う
- 当然ながら少女に殴られそうになる
- しかしつい暗殺者の癖で殴ろうとした手を掴んで止めてしまう
- そしてそのまま癖で押し倒して馬乗りに
- 主人公「制圧完了だ」
- 少女「何が制圧よ! どいて!」
- そこに上司からの通信で映像での会話
- 少女は未だ裸エプロンのまま
- 同僚「さっきの暗殺の件だが―って取り込み中だったか」
- 主人公「大丈夫だ問題ない」
- 少女「大丈夫じゃないでしょ! 裸が見られるじゃない!」
- 主人公「ちょっと黙ってくれ」
- いらついた少女が無言でビンタしようとするも、また受け止められる
- 少女「いや殴られなさいよ!」
- 同僚「切るぞ」
- 主人公「何故だ」
- 同僚「どういうプレイか知らんが少女が不満そうだ」
- 主人公は少女の顔を見て確認する
- 主人公「問題なさそうだ」
- 少女「そんなわけないでしょうがあああああ!!」
解説
例Aと例Bについて
まずは例Aと例Bを見てみましょう。
これらは極端な例ですが、例Bは少女との恋愛要素を絡めたことで、物語の展開に拡がりが生まれていることが分かると思います。
少なくとも例Aのように冷酷に少女を処分してしまうよりかは、展開に起伏が生まれています。
このように、恋愛感情というものは人間の心を大きく揺さぶることが可能になるだけでなく、
物語の展開において大きな軸や転換点として活用することが期待できます。
例Cについて
後述する恋愛要素と相性の悪い場合と比べ、
シリアスにコメディもといラブコメディを合わせる手法は意外とありふれています。
しかし、そもそもシリアスとコメディの共存は難しいのです。
例えば例として挙げている『暗殺者としてさっきまで殺し合いをしていたのに今ではふざけあっている』、
なんて作品は起伏の浮き沈みが激しいため、ストーリーのコントロールが難しくなります。
少しでも間違えるとシリアスな部分もコメディな部分も中途半端で薄っぺらい印象になってしまいます。
ニュースキャスターが悲惨な事件を悲しそうに読み上げた後、お祭りのニュースを楽しそうに読み上げるようなものです。
また、場面だけを切り取っているのであまり感じないかもしれませんが、
上手く組み合わさっていると思える例Cにもいくつか問題があります。
まず、ラブコメディをしようとしたせいで少女に対する扱いが雑になっています。
さらに、そもそもそんな主人公を少女が好きになる理由がありません。
前後のストーリーを考えてその辺りのフォローをすることも可能ですが、
ストーリーのシリアス部分も考えながらその辺りの部分も考慮するとなると非常に手間がかかります。
これだけでもシリアスの中にラブコメディは成立させにくいというのが分かるかと思います。
逆に、基本的にはコメディ調で最後はシリアスで締めるというやり方は比較的共存がしやすいため、
多少は難易度が高いものの、随所で見られます。
ストーリーの都合上で最後だけは変化させて物語に起伏を与えたいという使い方に適しているのです。
恋愛要素と相性が悪い場合もある
ラブコメは可能だとしても、恋愛要素を入れるとデメリットの方が大きい作品が存在します。
例えばハーレムものや日常ものといった作品群の場合、
作品としての価値はストーリーそのものではなくキャラとのシチュエーションや空気感、日常などの方に比重が置かれています。
恋愛要素などの人間関係やその変化に携わる要素はストーリーの幅を広げてくれる事は事実ですが、
それと同時に関係性の変化が起こることも事実です。
つまるところ、変化の好まれないハーレムものや日常ものでは恋愛要素が仇となる可能性もあるのです。
実際には作者の書き方次第というところでもありますが、非常に塩梅が難しいことに変わりはありません。