もくじ
神視点の書き方とは
実はものすごく単純で、視点を統一せずに書けば神視点となります。(厳密には諸説あります)
視点変更に明確な区切りが無かったり、頻繁に視点変更を繰り返したりすればもう完璧です。
時には登場人物のいずれにも属さない第三者のような視点の描写(いわゆる神の視点)を入れても良いでしょう。
このように、神視点というものは視点にとらわれない書き方のことを指します。
一言だけでは伝わりづらいので、このページを読み通していただければ理解の一助となると思います。
複数視点との違い
複数視点とは、神視点と違って明確な区切りを基準に視点変更を行う書き方のことです。
一人称でも三人称でも同じです。
章を変えた際、幕間、章の中の区切りである節を変えた際、行間を空ける等、何かしらの区切りを基準に視点を変更します。
そのため、明確な区切りもなく視点を変更する神視点とは別物として考えます。
神視点で視点変更を繰り返すよりかは、明確な区切りを基準に複数視点で分けた方が読者にとって理解のしやすい文章となります。
また、基本的には単視点の小説であっても、例外的かつ部分的に神視点や複数視点を活用する事もあります。
普通の書き方(単視点)との違い
普通の書き方、というのは視点が一人に固定されている書き方のことです。
一人称でも三人称でも同じです。単視点とも言います。
通常であれば視点を固定したキャラに沿って思考や感情を描写していきますので、
そのキャラ以外の思考や感情は描写できません。
それが出来たら他の人の思考が読めることになってしまいます。
そういった問題を解消できるのが神視点です。
(おすすめできませんがそれは後述します)
下記で例を挙げて解説します。
神視点が駄目と言われている理由
少しムッとしてアリスは両手を振り上げてポカポカとレイナを殴った。レイナは全然痛くなかったのでニヤニヤ笑っていた。
レイナがそんなふうに小馬鹿にすると、アリスは両手を振り上げてポカポカ殴ってきた。けど全然痛くなかった。
神視点ではこのようにキャラの考えや感情を細かくそれぞれ描写することが可能です。
しかし、言ってしまえば好きなタイミングで視点変更をして好きなように書く書き方です。
読者が読みやすいか等を考えればこのような書き方は推奨できません。
つまるところ、読者が感情移入する対象(視点)がブレてしまうため、神視点はあまりおすすめ出来るものではありません。
※一部で局所的に使用する場合は、場面によっては効果的となる場合もあります。
一方でレイナ視点の例では、レイナが小馬鹿にしてアリスにポカポカ殴られ、でも全然痛くなかったという感じで、
最初から最後までレイナの視点で描写されて終わります。
単視点では読者が感情移入する対象(視点)のブレる心配がありません。
推測文で神視点を改善する
神視点があまり良くないと分かっていても、
他のキャラの感情や思考を描写したい場面が出てくることは少なくありません。
そういった場合は「~だろうか」「~だろう」「~なのか」「~のか」といった推測系の文章に変更すれば違和感なく改善が可能です。
もう既に書き進んでしまっているような場合は、諦めて書き直してしまったほうが建設的かと思います。
少しムッとしてアリスは両手を振り上げてポカポカとレイナを殴った。レイナは全然痛くなかったのか、ニヤニヤ笑っていた。
なぜ初心者ほど意図せず神視点になってしまうのか
「こっちのキャラはこう思っていて」「あっちのキャラはこう思ってる」「そっちのキャラは…」
作者はキャラの思考を知っています。
なので考えた通りに考えたまま書くと視点バラバラの神視点が出来上がってしまう危険性があります。
視点を意識して書けば簡単に防げるので、意識して書くように注意してください。
具体的には、前述したように
- 視点を固定したキャラに沿って思考や感情を描写すること。
- そのキャラ以外の思考や感情は描写しないこと。
この2点を意識していれば問題ないかと思います。
ちなみに、らのもきゅは初めて書いた時に思いっきり間違えました。
視点がバラバラでクッソ読みづらい文章が出来上がったのを未だに覚えています。
とはいえ意識しすぎても窮屈になりますし、ケースバイケースでもあります。
視点がおかしくならないように頭の片隅にでも置いてもらえればと思います。
また、視点を統一すべき理由については下記の記事でも解説しています。
神視点の例と三人称単視点の例
下記で神視点のデメリットについても触れます。
そちらに関しては別記事で解説しています。
解説
悪い神視点の例は非常に分かりにくいですが神視点です。
意図せず陥ってしまいやすい神視点の例として作成しました。
パッと見だと特に変ではないため、違和感なく読めてしまうかも知れません。
「アリスはこの時を待っていた」というアリス視点の描写があるにもかかわらず、
「しかしそんなアリスの行動はセレナにとって想定内」というセレナ視点の描写もあります。
どちらも本人の考えが分からないと書けないため、視点が二つ存在しているのは確定的です。
この時点で既に視点変更があまり明確ではなく急なため、神視点と判断できます。
また、その後の文章で「それもそうだ。結果的に、隙を突かれたのはアリスの方だったのだから」などと、
どちらの視点とも言えない第三者の視点が入っています。
そこでも神視点に類するものだだと断定できます。
神視点は読者の没入の妨げになる
悪い神視点の例では視点がアリス、セレナ、第三者とバラけてしまっています。
不特定なタイミングで視点が変更されると読者の没入の妨げになります。
単純に視点をひとつに絞った方が臨場感も出やすいですし、感情移入もされやすいです。
神視点は文意が不安定になる
視点が固定してあると何を書いていくかは自然と制限されてしまうので、迷いようがありません。
しかし、視点が混在している場合、何のキャラをどの程度書くかは作者の裁量に委ねられてしまいます。
その辺りは非常に塩梅が難しく、簡単ではないです。
結果として描写の過不足が出来てしまう恐れがあり、この点は軽く無視は出来ません。
さらに言えば、明確な視点変更を行っていないため、
誰が何を言っているのかよく分からない文章になってしまうこともあります。
神視点というものは作者の技量が必要になってくるということが分かると思います。
そもそも神視点で書く必要性が薄い
特殊な作品であれば神視点がベストなこともあります。
しかし、神視点で書けるものの大概は単視点でも書けますし、そのまた逆も然りです。
まとめ
神視点というものは、
- 技量が必要でデメリットが多い
- 単視点でも充分
- 初心者は注意
総括するとこのような感じです。
初心者の方は誤って神視点にならないように気を付けて、
中級者以上の方は使い所に気を付けましょう。
上級者の方は最初から最後まで神視点でチャレンジしてみても面白いかもしれません。